コレステロールのお話⑦ ~コレステロールが多い食べ物を取ると太るんですか?~
こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分、白金台駅より徒歩9分 目黒みらい内科クリニック院長のけい先生です。
前回のブログに ‘‘コレステロールが多い食品一覧表‘‘ を載せたのですが、「コレステロールの量」と一緒に「エネルギー」が書いてあるのですね。
それを見た当院のスタッフから
「コレステロールが多い食べ物を取ると太るんですか?」
との質問が けい先生にありました。
これはとても大事なことなので、今日はそのお話をしましょう。
まずはエネルギーのお話から。
①エネルギー産生栄養素について
家にある家電製品やスマホを使う、電車を動かすには電気が必要ですし、
車はガソリンや電気、水素などのエネルギーがないと動かすことが出来ませんよね。
それと同じように私たち人間が日々生活をしていくためには、活動するために使うエネルギーが必要です。
また人間は寝ている時ですら心臓が血液を全身に送り、肺は動いて酸素を取り込み二酸化炭素を吐き、60兆個もある細胞も活動をつづけています。
この細胞や臓器が働くのにもエネルギーは欠かせないのです。
人間の場合はエネルギーを作るもとになるものを食事や飲み物等から取るのですが、それを
三大栄養素
というのですね。この言葉、覚えていらっしゃる方も多いと思います。
実はこの三大栄養素ですが、今は下記の様になっています。
「人間の身体になくてはならない栄養素のうち、エネルギー(カロリー)源となる「たんぱく質・脂質・炭水化物」を『エネルギー産生栄養素』と呼んでいます。以前は、三大栄養素とも言われていました。」
(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネットより抜粋)
つまり
三大栄養素=エネルギー産生栄養素=エネルギーを作るもとになる栄養素
と呼ぶようになっています。
そしてこのエネルギー産生栄養素である「たんぱく質・脂質・炭水化物」のうち
脂質
について今日は考えてみましょう。
②脂質についてのおさらい
以前この様なブログを書きました。
簡単にまとめると
①脂質とは中性脂肪、コレステロール、リン脂質や脂溶性ビタミンなどを含めたもの
②脂質、脂肪、あぶら(ゆし)の意味は厳密に分かれておらず、あいまい
であるとお話したのですね。
実は脂質には上の様にいくつも種類があるのですが、その中でエネルギー源となるのはなんと
中性脂肪に含まれる脂肪酸だけ
なのです。
上記のブログには中性脂肪を説明をするのにこんな図を載せています。
(路地裏の栄養学 ホームページより抜粋)
このグリセロールにくっついている脂肪酸がエネルギーを作るもとになるのですね。
ブログでは鯉のぼりを例にだして中性脂肪について説明しましたが、鯉の部分が脂肪酸になるわけです。
(以前のブログも是非見てみて下さいね)
ここまではよいでしょうか。
・・・ここで、あれ?
脂質に含まれるコレステロールはエネルギー源ではないの?
と思った方。
コレステロールの働きについても以前ブログに書いていますので見てみましょう。
こちらでお話しましたが、コレステロールの役割は
①細胞の膜に必須の成分
②ステロイドの材料
③脂肪の消化、吸収に役立つ
ものでしたね。
「エネルギー源になります」とは書いていない・・・。
つまり
コレステロールそのものにはエネルギー源としての役割はない
のですよ。
仮にジュースにコレステロールをいくら加えたとしてもエネルギーは増えない、ということなんです。
ジュースに(エネルギー産生栄養素に含まれる「炭水化物」の一種である)砂糖を加えると、加えた分だけエネルギーになるのとは全く違いますね。
本来であればエネルギー産生栄養素の一つである脂質について
「たんぱく質・脂肪酸・炭水化物」を『エネルギー産生栄養素』と呼んでいます。
と書くとよいのですが、普段の生活で脂肪酸という言葉はほとんど聞かないしおそらくピンとこない・・・。
そのため分かりやすさを重視し、「三大栄養素」時代からの流れを引き継いで
「たんぱく質・脂質・炭水化物」を『エネルギー産生栄養素』と呼んでいます。
としているのだと思われます。
ここまでの話をまとめると
コレステロールだけを多く取っても太ることはない
のです。
③コレステロールが多い食べ物を取ると太るんですか?
最後に、今回の質問に戻りましょう。
これには2つの意味があると思います。
1つ目は
・コレステロールそのものを多くとると太るんですか?
ということですが、これは今までお話した通りコレステロールはエネルギー源ではないので「太らない」のですね。
もう1つは
・コレステロールが多い食べ物は、エネルギーが多くて太るんですか?
という事かと思います。
実は
コレステロールが多い食べ物=エネルギーが多い食べ物、というわけではない
のです。
これは
コレステロールが多い食べ物が、エネルギー産生栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)をどれだけ含んでいるのか
によって変わりますし、「太る」という点からみるとその食べ物が
・脂質(この場合は中性脂肪や脂肪酸)
・炭水化物(おもに糖分)
をどれだけ含んでいるのかが大切なんですね。
前回のブログの表を見ても、食品の種類によってコレステロールの量とエネルギーがかなり異なるのが分かるかと思います。
(東京都病院経営本部ホームページより抜粋)
例えば豚レバーと豚バラ肉で比べてみると、
コレステロール含有量:豚レバー>豚ばら肉
エネルギー:豚ばら肉>豚レバー
と逆転していますよね。
これは豚ばら肉の方が脂質の量が多いことが影響しているのです。
いかがでしたでしょうか?
色々細かくお話をしてきましたが、普段の生活で自分が食べるものについて
「これは脂質が〇gで、炭水化物が△g含まれていて、▢g食べたとするとエネルギーが※kcalになって・・・」
と考えていくのはなかなか大変です。
それよりも食事は一汁三菜がよい、と言われているようにできるだけバランスよく、
・お腹が空いたら
・よく噛んで
・ゆっくり
・腹八分目に
食べるのがおすすめですね。
本日も長くなりましたがこの辺で。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
けい先生
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