尿酸のお話④ ~②ビールを焼酎やワインなど、他のアルコールに変えれば大丈夫なのですか?~
こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分、白金台駅より徒歩9分 目黒みらい内科クリニック 院長のけい先生です。
もう8月も終わろうとしていますが、まだまだ暑いですね。
今日は尿酸とアルコールのお話の2回目となります。
①アルコールのうち、ビールはなぜ悪いと言われるのか?
②焼酎やワインなど、他のアルコールに変えれば本当に大丈夫なのか?
のうち、②についてお話しますね。
②焼酎やワインなど、他のアルコールに変えれば大丈夫なのか?
前回のブログでお話した通り、飲み物に含まれているプリン体の量だけで考えると、ビール好きな方はビールを蒸留酒(焼酎やウイスキー、ブランデー)やワインに変えることでプリン体の量は減りますね。
ではプリン体の量が少ないアルコールにすれば尿酸値が高くならず、痛風発作も起こらないかというと・・・残念なことにそんなことはないんです。
ビールに限らず、アルコールを多量に飲んだ翌日に痛風発作が出る方も多いため、
アルコール自体の影響
も考える必要があるのです。
そのアルコールの影響をまとめたのが下の図になります。
なんだか難しい言葉が書いてありますが、大きく分けて4つの理由があるのですね。
順にみていきましょう。
①尿酸産生の増加 ~作られる尿酸の量が増える~
身体に吸収されたアルコールは肝臓で分解される、ということを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
実はこのアルコールを分解する時にエネルギーが必要なのですね。
この時エネルギーとしてATPという物質を使うのですが、このATPにプリン体が多く含まれています。
アルコールの量が増えれば増えるほど分解するのにより多くのエネルギーが必要となり、多くのATPが使われた結果プリン体の量が増えるわけです。
そしてプリン体は分解されて尿酸になるので、尿酸が増えることになります。
以前のブログにプリン体とATPについても書いていますので、こちらもあわせてご覧下さい。
②尿酸排泄の阻害 ~尿酸を身体の外に出しにくくしてしまう~
プリン体が分解されて出来た尿酸は尿から外に出されるのですが、アルコールがその働きを邪魔してしまいます。
その結果身体の中で尿酸が増えても、外に出す尿酸の量を増やせないため尿酸値が上がりやすくなるのですね。
③利尿作用による尿酸の濃縮 ~血液中の尿酸の濃度が濃くなる~
「利尿作用」とは、尿を出しやすくする働きのこと。
ちなみに「利尿剤」というお薬は、尿を増やす働きのあるお薬のことをいいます。
アルコールを飲むとトイレが近くなると思いますが、これもアルコールの影響なんですね。
アルコールには尿を増やす働きがあるのです。
尿が増えた結果血液中の水分が普段より減ってしまい、血液に溶けている尿酸の濃度が濃くなってしまうのです。
④酒類に含まれるプリン体+高プリン体の摂取 ~一緒に食べるおつまみの影響~
アルコールに含まれるプリン体の量については前回のブログでお話しました。
アルコールを飲むときはおつまみも一緒にとることが多いと思うのですが、これがまた尿酸が多く含まれている食べ物がアルコールにあうのですね。
こちらもあわせてご覧下さい。
いかがでしょうか?
様々な理由でアルコールそのものが尿酸値をあげてしまう可能性があることがお分かりいただけましたでしょうか。
まとめると
ビールから焼酎やワインなど、他のアルコールに変えても尿酸値が高くなる可能性がある
ということになります。
つまり尿酸が高いと言われている方や、痛風発作にかかったことがある方は
種類を問わずアルコールの量を減らすことが大切
なのです。
もちろん禁酒が出来れば一番なのですが、まずは1杯でも減らすようにしてみて下さいね。
またアルコールを飲むと尿が増えてしまい、その結果血液中の尿酸値が上がってしまうとお話しました。
アルコールで水分を補っているつもりでも、その水分のほとんどが尿に出てしまうのでむしろ脱水になりやすくなるのですね。
そのため
アルコールを飲みながら、別にお水も飲む
事を心がけてみて下さい。
ちなみにお茶やコーヒー、紅茶にはカフェインが含まれているものがあります。
このカフェインにも利尿作用があるため尿が増えてしまうことから、お水を取っていただくのがおすすめなのです。
本日も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
けい先生
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