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健診で肝臓の数値が高いと言われたら|目黒・白金台の内科

最終更新日:2026年9月21日

 

こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分、白金台駅より徒歩9分 医療法人社団FU-WA 目黒みらい内科クリニック院長のけい先生です。

 

健康診断で異常を指摘され、当院を受診される方の中には、

 

「肝臓の数値が悪いと言われてきました」

 

とお話しされる方が少なくありません。

 

そして

 

「以前から少し数値が高かったんですが、そのままにしていました」

「今まで何ともなかったのに、今年急に上がってびっくりしました」

「全然運動していないからかな・・・」

「最近、飲み会が多かったんですよね・・・」

 

という方もいらっしゃいます。

 

腹部エコー検査まで受けている方の中には、

 

「脂肪肝と言われました。最近体重が増えたからでしょうか・・・」

 

とおっしゃる方もいらっしゃいますね。

 

ここで肝臓の数値が高くなる肝機能異常や肝機能障害と聞いた場合、皆様に浮かんでくる病名は何でしょうか?

 

脂肪肝

 

を思い浮かべる方が多いかもしれません。これはそれだけ脂肪肝の方が多く、普段の生活でも話に出てきて馴染みがあるためではないかと考えています。

 

ただ肝臓の数値が高くなる病気は脂肪肝だけではないのです。

 

そのため今回は健康診断で肝機能異常を指摘されたとき、何を考えて、どう対応すればよいのかについてお話ししますね。

 

【お時間のない方へ|この記事の要点】

 

・健康診断で肝機能障害の再検査・精密検査を指示されたら、症状がなくても一度受診し、検査を受けることをおすすめします

・肝機能障害が起こる原因は脂肪肝だけでなく、アルコール、薬やサプリメント、感染症、免疫の病気などさまざまです

・生活習慣を見直す場合、よいと言われていることを全部やらなくては、と頑張る必要はありません。まずは一つでも、長く続けられそうなことから始めていきましょう

 

【目次】

 

①肝臓の数値が高いとは何ですか?

②肝臓の数値の変化だけでなく、生活状況もお聞きします

③どんな検査をするのでしょうか?

④脂肪肝と診断されたら、どうしたらよいですか?

⑤食事やお酒の調整、運動も「できることをまず一つ」から

⑥脂肪肝には薬はないのでしょうか?

⑦症状がなくても、来年の健康診断まで待たないでください

⑧「言葉にならないサイン」を受け止めてください

 

①肝臓の数値が高いとは何ですか?

 

まず「この数字が何を表しているのか」をお話ししますね。

 

肝臓の数値はAST、ALT、γ-GTP(ガンマGTP)などが有名です。

 

ASTやALTは肝臓の細胞が傷つくと血液中で高くなります。特にALTは肝臓との関連が強い数値ですが、ASTは筋肉など肝臓以外の影響で高くなることもあります。

 

またγ-GTPやALPなどは胆汁の流れが悪い場合に高くなることがあり、γ-GTPはアルコールやお薬などの影響でも高くなることがあります。なおALPは骨など肝臓以外の影響で高くなることもあります。

 

そのためASTやALTが高い場合には、けい先生はイメージとして、

 

「普段よりも肝臓の細胞が傷つき、壊れているサインの一つと考えてください」

 

とお話しすることがあります。

ただし、ASTやALTの数値の高さだけで肝臓の病気の重さが決まるわけではありません。

 

では、なぜ肝臓が傷ついてしまうのでしょうか。

 

比較的よくみられるのは、肝臓に脂肪がたまることで起きる脂肪肝、アルコールの影響で起きるアルコール性肝障害、お薬やサプリメント、健康食品などによる影響です。

 

またウイルス感染症などをきっかけに、一時的に肝臓の数値が上がってしまうこともあります。

 

そのほか、B型肝炎やC型肝炎などの感染症、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などの免疫が関係する病気、甲状腺の病気などが原因になることもあります。

 

詳しく知りたい方は、以下の一般の方向け解説もご覧ください。

自己免疫性肝炎(指定難病95)

原発性胆汁性胆管炎(指定難病93)

 

そのため、

 

「体重が増えたから脂肪肝か・・・」

 

と最初からご自分で判断してしまうのではなく、なぜ数値が上がっているのかを一度しっかり確認することが大切なのですね。

 

②肝臓の数値の変化だけでなく、生活状況もお聞きします

 

肝機能障害の方を診るとき、けい先生は生活についてもお聞きしています。

 

以前と比べて体重は増えていないでしょうか。

飲んでいるお薬、サプリメント、健康食品はあるでしょうか。

それはいつから始めたのでしょうか。

運動習慣はあるでしょうか、ないでしょうか。そして最近変わっていないでしょうか。

結婚や出産など生活環境が変わって、以前より運動する時間がなくなったという方もいます。

 

アルコールは飲むのでしょうか。

何を、週に何日、どのくらい飲むのでしょうか。

 

仕事はデスクワークでしょうか。

最近、転職や仕事の忙しさに変化はなかったでしょうか。

仕事での会食や個人的な飲み会は増えていないでしょうか。

 

食事についてもお聞きしますが、特に夕食について、何時ころ食べているでしょうか。

夜10時、11時に食べて、そのまますぐに寝るような生活になっていないかも確認します。

当院では、まず看護師が詳しくお話をお聞きしますが、その内容をもとにけい先生がさらに確認させていただくこともあります。

 

③どんな検査をするのでしょうか?

 

まずは血液検査で肝機能をもう一度確認します。

 

AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン、アルブミン、血小板なども含めて肝臓の状態を評価していきます。

 

必要に応じて、B型肝炎やC型肝炎などの感染症、甲状腺機能、自己免疫の病気に関係する検査などを追加します。

状況によっては腹部エコーも行います。

 

ここで大切なのが、できるだけ今回の数字だけで判断しないことですね。

 

以前の健康診断の結果があれば、ぜひお持ちください。

 

前回より数値が良くなっているのか、悪くなっているのか、それともほとんど変わっていないのか。

この変化も大切な情報になります。

 

なお健康診断などですでに行っている検査については、その結果やその後の状況も確認します。そのうえで再検査が必要ないと判断できる場合には、同じ検査をむやみに繰り返さないようにしています。

 

そして検査結果によって、さらに詳しい検査や治療が必要と判断した場合には、肝臓を専門とする医療機関へ紹介状をご用意しご紹介しますのでご安心ください。

 

④脂肪肝と診断されたら、どうしたらよいですか?

 

脂肪肝では、肥満を伴っている方も多いですね。

 

ただ実は肥満がなくても、食生活や内臓脂肪、糖代謝、体質などさまざまな要因が関係して脂肪肝になる方もいます。

 

肥満がある方にけい先生がまず確認するのは、

 

「体重計を持っていますか?」
「体重計に乗っていますか?」

 

ということです。

 

お話をお伺いしてみると、体重計がそもそもない方、また持っているものの体重を測っていない方がいらっしゃいます。

 

体重計をお持ちでない場合はまず購入していただく。

そして今まで体重を測る習慣がなかった方には、体重計に乗り、自分の体重について知るところから始めてもらいます。

 

「怖くて体重を測りたくない・・・」

 

と言う方もいらっしゃるのですが、とても短い時間で、少ない手間で自分の身体の状態を知ることができるので強くおすすめしています。

 

そして体重を測っていただくと、体重はある程度の幅で変化するものであることが分かってきます。はじめは体重の増減に一喜一憂してしまいますが、そのうち、

 

「自分はこれくらいの体重の変化の幅があるんだな」
「体重の上限は〇kgだから、ここは超えないようにしよう」

 

と考えてもらうようになっていきますのでご安心ください。

 

できれば朝起きたときやお風呂に入る前など、自分が続けやすい同じタイミングで測ってみてください。

 

今まで体重が増え続けてきた方であれば、いきなり減量を目指すのではなく、まず体重が増えるのを止めることを目標にする。これが大切なはじめの一歩だと考えています。

 

そのうえで、体格にもよりますが、1か月に0.5~1kg程度のペースでゆっくり減っていけば、まずは十分なスタートです。

 

ちなみにけい先生は極端なダイエットに取り組むことや、ハードなトレーニングを突然始めるなど、いきなり生活を大きく変えることはおすすめしていません。

 

生活習慣の見直しは短距離走ではありません。

長距離走、場合によっては人生を通して付き合っていくマラソンのようなものだと思っています。

 

1~2か月だけものすごく頑張って食事を減らし、運動を増やした結果、体重が落ちたとしても、そこで力尽きてしまい、元の生活に戻ってしまっては元も子もないですよね。

 

ついつい焦ってしまう、何かやらなくては、と意気込んで取りかかってしまう気持ちはよく分かります。

ただ長い目でみると、

 

とにかく無理をしない。頑張りすぎない。できることを一つでも見つけて、とにかくまずやってみる。

 

これが大切です。

 

⑤食事やお酒の調整、運動も「できることをまず一つ」から

 

少し具体例を出しながらお話ししていきましょう。

 

食事に関し、夕食が夜10時、11時になってしまう方がいらっしゃいます。

この場合、夕方に一度夕食を食べて、帰宅後は軽い食事にできないかなどと相談することがあります。

 

ただそうは言っても、ご家族と一緒に夕食を食べたい方もいますし、仕事の状況、周囲の環境によって早い時間には食べられない方もいます。

 

そのため一律に、

 

「こうしてください」
「この方法がいいですよ」

 

とは言えないのですね。

 

そこで、その方の生活をお聞きしながら、

 

「では、今の生活の中で何ならできそうか」

 

を一緒に考えていきます。

 

アルコールも同じです。

 

アルコールが肝臓に影響している場合、飲酒をやめることが治療の基本です。特に肝炎が強い場合や肝硬変がある場合などは、断酒が必要になります。

 

ただそうは言っても、

 

「やめられないんだよね・・・」
「人生の楽しみがなくなってしまう・・・」
「わかっているんだけど、夜になると飲んじゃうんですよね・・・」

 

とお話しされる方が多く、アルコールと完全に縁を切るのはかなり高いハードルがあるなと感じています。

 

ただアルコールが肝臓に悪さをしているのが分かっているのに、そのままでいいですよ、とはならないですよね。

 

それであれば、すぐに断酒が難しい方ではまず1杯でも減らしてみる。

飲み会であれば、アルコールを1杯飲んだら、その次にお水やウーロン茶を1杯挟んでみる。

休肝日を1日でも作ってみる、増やしてみる。

アルコールをまとめ買いして置いておかない。

 

などの対応を考えていきます。

 

なお、お水やウーロン茶を挟むことや休肝日を作ることは、飲酒量を減らすための工夫です。肝臓へのアルコールの影響を打ち消す方法ではありません。

 

運動についても突然スポーツジムへ入会し、通い始めなくても構いません。

 

もちろん以前から運動の必要性、重要性が分かっており、スポーツジムに入会しようかどうか迷っている方には、ぜひ始めるよい機会にしてもらえるとありがたいです。

 

そうでなくてもまずは普段の生活で身体を動かすことを考えてみましょう。

 

駅ではエスカレーターやエレベーターではなく階段を使ってみる。一駅手前で降りて歩いてみる。

つい近くまで車で行ってしまおうと思うときも、あえて歩いてみる。

一見小さなことと思えることをやっていくのが大切になります。

 

ちなみにけい先生も、できるだけ家に帰ってから20分ほど歩く時間を作るようにしています。

 

大切なのは、減量のため食事、アルコール、運動などすべてを一気に見直し、すぐにガラッと変えることではありません。

 

まず一つ、無理なく始められそうなことから取り組み、それを習慣になるまで続けていくこと。

 

これが大切だと考えています。

 

⑥脂肪肝には薬はないのでしょうか?

 

これまで脂肪肝の治療は、体重、食事、運動、アルコールなど生活習慣の見直しが中心でした。

 

ただ、2026年になり新しい動きがありました。

 

肥満症の治療にも使われている注射薬「ウゴービ(セマグルチド)」が、2026年6月、肝硬変を伴わず、中等度または高度の線維化を有するMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)に対しても使えるようになりました。

 

少し難しい話となりますが、脂肪肝があり、肥満や血糖、血圧、脂質など代謝に関わるリスクを少なくとも一つ伴うものをMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼びます。その中で、肝臓に脂肪がたまるだけでなく炎症や肝細胞の傷害を伴う状態をMASHと呼びます。なお、飲酒量などによって分類が異なる場合があります。

 

ただしここが大切なのですが、脂肪肝と診断されたら誰でもウゴービを使えるわけではありません。

 

具体的には、肝硬変ではないMASHで、肝臓の線維化が中等度から高度(F2またはF3相当)まで進んでいる方などが対象となります。原則として線維化の程度は肝生検で確認し、肝生検が適さない場合には肝臓の硬さをみる検査や血液検査などをもとに専門医が総合的に判断します。またBMIにも条件があり、原則として23kg/m²以上の方が対象とされています。

また、処方する医師や医療機関についても要件が定められており、一定の診療体制を備えた医療機関で治療を行う必要があります。そして残念ながら当院ではウゴービの処方はできないのですね。

 

そのため当院で検査を進め、ウゴービによる治療を検討した方がよいと判断した場合には、治療が可能な専門医療機関へご紹介していきますね。

 

参考(以下は医療関係者向けの資料を含みます)

最適使用推進ガイドライン セマグルチド(遺伝子組換え)(販売名:ウゴービ皮下注)~代謝機能障害関連脂肪肝炎~

脂肪性肝疾患の診断基準に関して

 

⑦症状がなくても、来年の健康診断まで待たないでください

 

「肝臓の数値が少し高いだけなので、来年の健康診断まで様子を見てもいいでしょうか?」

 

と聞かれることがあります。

 

ただ、この「少し」という言葉の感覚は人によって違うので注意が必要なところです。

 

その方が「少し」と感じたとしても、けい先生をはじめとした医師から見た場合、

 

「この数値はまずい」
「早く検査をした方がよい」

 

となる場合もあります。

 

健康診断で再検査や精密検査を指示されたのであれば、自分の判断で来年まで待つのではなく、一度受診して確認することを強くおすすめします。

 

特に昨年までの結果と比べて、

 

「今年はどうしたんだろう?」

 

とふと思うくらい数値が変化している場合には、当院をはじめとした医療機関を早めに受診してください。

 

肝臓は「沈黙の臓器」と言われます。

肝臓にダメージがあっても症状が出にくく、病気が進行してから初めて気づくこともあります。

 

だからこそ血液検査などで状態を確認していくことが大切なのですね。

 

⑧「言葉にならないサイン」を受け止めてください

 

肝臓は私たちが何を食べても、どんなに飲んでも、生活が乱れても何も言わずに、ただひたすらに黙々と働いてくれています。

 

肝臓はたんぱく質をつくってくれたり、体にいらないものを処理してくれたり、糖の代謝を調整してくれたりしながら、私たちが普段通り生活できるように支えてくれている、とても我慢強い臓器なのですね。

 

その肝臓からの一つのシグナルが、健康診断で見つかる肝機能異常だと考えてください。

 

数値が高い場合、まずは

 

「なぜ上がったのだろう」
「今、肝臓はどのような状態なのだろう」

 

と考えてみてほしいですね。

 

もちろん専門の先生に診てもらう必要があると判断した場合、しっかりご紹介します。

 

一方で、生活を少しずつ調整することで改善を目指せる方も多くいらっしゃいます。

 

そして、お薬を使わない場合でも外来には定期的に来ていただきたいと考えています。

 

生活習慣を見直し、新しい取り組みを始め、それを続けていこうとしても、一人で頑張り続けるのは簡単なことではありません。

 

状態に応じて2~3か月ごとに受診してもらい採血をし、確認し、次につなげていく。

数値が高い場合や急な変化がある場合には、もっと短い間隔で確認が必要になることもあります。

 

沈黙の臓器からの言葉にならないサインを受け止めて、普段の生活を一緒に見直し考えていく。

 

目黒みらい内科クリニックでは、このようなお手伝いができればと考えています。

 

健康診断で肝機能異常を指摘され、どうしたらよいか分からない場合には、結果をお持ちのうえ遠慮なくご相談くださいね。

 

皆様のお役に立てますと幸いです。

本日も最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

 

医療法人社団FU-WA
目黒みらい内科クリニック
院長 けい先生