糖尿病のお話⑭ 糖尿病と新型コロナの関係
こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分、白金台駅より徒歩9分 目黒みらい内科クリニック院長のけい先生です。
新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナとします)の流行第3波が来ています。
新たに感染される方、重症の方が増えており、以前よりも新型コロナの存在を身近に感じている方も少なくないのではないでしょうか。
新型コロナの患者さんが増えるに伴い高齢者の方だけではなく、新型コロナにかかった場合に重症となりやすい方が分かってきました。
具体的には
(国立国際医療研究センター 忽那賢志先生執筆 Yahoo 個人ブログ記事:「新型コロナ 典型的な症状、経過、重症化のリスクと受診の目安」より抜粋)
であると言われています。
上記以外にもデータは限られていますが
(国立国際医療研究センター 忽那賢志先生執筆 Yahoo 個人ブログ記事:「新型コロナ 典型的な症状、経過、重症化のリスクと受診の目安」より抜粋)
などをお持ちの方もリスクを抱えていらっしゃいます。
この中でも糖尿病をお持ちの方は約1000万人程いる(平成28年「国民健康・栄養調査結果の概要」より抜粋)とされているのですが、その中には
・糖尿病があると、新型コロナにかかりやすいのかな・・・
・新型コロナにかかるといけないから、出来るだけ外出も控えて家にいよう・・・
・医療機関を受診して検査を受けたり、薬をもらわないといけないけれども、新型コロナが怖いから行くのをやめておこう・・・
などとお考えになり、定期的な通院やお薬などをやめてしまった方もいらっしゃるかもしれません。
そのため今回は糖尿病の皆様に知っておいていただきたい
糖尿病と新型コロナの関係
についてお話をさせて頂きます。
*2020年10月に日本糖尿病協会(ホームページはこちら)より
今、糖尿病とともに生きる人へ 新型コロナウイルス感染症に負けない毎日を過ごすために
という記事が出されました。
これからはこの記事をもとにお話して行きますので、興味がある方は是非ご覧下さい。
①糖尿病があると新型コロナウイルス感染症にかかりやすいのでしょうか?
糖尿病があると新型コロナにかかったら重症化しやすい、ということは・・・
新型コロナにかかりやすいのではないかな?
と考えたり、心配になってしまったとしても不思議ではありません。
けい先生の外来でも糖尿病をお持ちの方よりこのような質問を聞かれることがあります。
実際どうかといいますと、
糖尿病を持っているからといって、新型コロナにかかりやすいわけではない
と言われていますので、まずはご安心ください。
つまり
糖尿病をもっていてもいなくても、新型コロナへのかかりやすさは変わらない
ということです。
ここはとても大切なことなのでしっかり覚えておいてくださいね。
3密をさけ、マスクをし、手洗いや手指消毒をする、換気をする
といった対策をしっかりとっているのであれば、必要以上に新型コロナを恐れることはない、ということです。
むしろ新型コロナを恐れるあまり外出を控え、身体を動かす機会や運動の時間が減ることで糖尿病が悪化してしまう場合があります。
また通院をためらいお薬を中断してしまうと糖尿病が悪くなってしまう可能性がとても高いです。
そうすると次にお話する「重症化」のリスクにつながってしまいます・・・。
2)糖尿病があると新型コロナで重症化しやすいですか?
中国(アメリカ、イタリア)の報告によると、
・「重症」で入院した新型コロナ患者
・「集中治療室で呼吸管理」が必要になった新型コロナ患者
では糖尿病をお持ちの方の割合が高くなっています。
よって
糖尿病があると新型コロナで重症化するリスクがある
と言えます。
ブログの冒頭にお出しした資料でも
2型糖尿病:重症化リスク2.3倍
とされています。
さらに中国のデータでは
・血糖コントロール良好な群:血糖値が70~180の範囲で収まる(平均HbA1c 7.3%)
・血糖コントロール不良な群:血糖値が180を超えることがある(平均HbA1c 8.1%)
に分けて死亡率を比べると
・血糖コントロール良好な群:糖尿病がない人と死亡率は同じ
・血糖コントロール不良な群:死亡率が高い
ことも分かっています。
つまり糖尿病のコントロールが悪い状態で新型コロナにかかると重症化のリスクが高まるだけでなく、死亡率も高まる可能性があるということなのです。
ここまではよいでしょうか。
③糖尿病とどの様に付き合っていくとよいでしょうか?
いままで糖尿病は長い年数をかけて血管にダメージを与え、合併症(網膜症、腎症、神経症)や動脈硬化による疾患(虚血性心疾患や脳血管障害)など様々な病気が起きてくることから、この様な病気にならないよう血糖コントロールをしていくのが大切、と言われていました。
これに加え今後は新型コロナにかかっても重症化しないようにする、という新たな目的も加わわったと考えられます。
糖尿病については
・食事の調整
・運動の実施
・お薬の継続
をして糖尿病をよい状態にしておくことが大切です。
具体的には
HbA1cを7.0%未満
でいることを一緒に目指していきたいと考えています。
(国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター ホームページより抜粋)
上の図にあるように
合併症予防のための目標となるHbA1cの値(7.0%未満)と同じ
と覚えて下さい。
ただ現在糖尿病と付き合いながらもHbA1cの値が8%、9%もしくはそれ以上の方もいらっしゃると思いますが、いきなり7%を切りましょうと言われたら聞いただけで嫌になってしまう方もいるはずです。
その様な方は今の状態より少しでもHbA1cの値がよくなるように何が出来るのか、何をしたらよいのか主治医の先生と相談しつつ探していくようにしましょう。
それに糖尿病は血糖値が上がったとしても症状を感じにくいのが特徴です。
もし
・いつもより喉が渇く
・水分を沢山とりたくなる
・夜にトイレに行く回数が増えた
などの症状が出たときには糖尿病が相当悪くなっている状態と考えられます。
そのため糖尿病がどんな状態なのかを知るためには
定期的な通院によるHbA1c値の確認
が欠かせません。
またお薬を服用している方は
お薬の継続
も大切になりますね。
目黒みらい内科クリニックでは糖尿病をお持ちの方の診療もしております。
・生活習慣の改善のみで経過を見ている方
・お薬を内服中の方
・GLP-1アナログ製剤やインスリンの注射を受けている方
なども受診いただけます(注:インスリン持続皮下注射実施中の方は受診いただけません。ご注意ください)
特にHbA1cは受診当日に結果のご説明が可能です(総合病院と同じ測定方法で、100秒で結果がわかるヘモグロビンA1c測定装置(HPLC法)を用意しています)。
またオンライン診療も行っておりますので、通院の回数を抑えつつ糖尿病の通院・治療を継続したい方などもご相談下さい。
事前予約を受け付けておりますので、受診をご希望の方は
①03-6721-6672までお電話を頂く
もしくは
②インターネットで予約をして頂く
(ご予約はこちら)
事をお勧めしております。
事前に予約いただく事で、クリニックの滞在時間を少しでも短くできればと考えております。
また
・健康診断で血糖値もしくはHbA1cの値が再検査や精密検査の指示があったものの、まだ医療機関を受診されていない方
・糖尿病で通院していたものの中断してしまった方
・糖尿病と診断されたものの、治療や生活習慣の見直しにより改善し通院終了となった後、しばらく検査を受けていない方
などもご相談下さい。
皆様のお役に立てますと幸いです。
本日も最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
けい先生