新型コロナウイルス感染症の相談・受診目安について考えてみる(2020年5月29日時点) ~第2波、第3波に備えて~
こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分、白金台駅より徒歩9分 目黒みらい内科クリニック 院長のけい先生です。
2020年5月25日、新型コロナウイルス感染症の流行で出されていた緊急事態宣言がようやく全国で解除されましたね。
この日を待ち望んでいた方は多いと思いますし、けい先生もそのうちの一人です。
目黒みらい内科クリニックのある目黒駅もGW中はほとんど人気がなく閑散としていましたが、少しずつ人が戻ってきている印象があります。
ただ緊急事態宣言が解除されたからもう新型コロナウイルス感染症のことは気にしなくていいか、というと残念ながらそんなことはありません。
むしろこれから少しずつ普段の生活に戻していきながらも、再流行にも備えていく心構えが必要となります。
東京都医師会からも
感染爆発をおこさないために「都民の皆様と考える、これからのライフスタイル」(2020.5.20)
といったパンフレットも出ています。
興味のある方は、お時間のある時にじっくり読んで頂ければ幸いです。
①新型コロナウイルス感染症の相談・受診目安について
2020年5月に新型コロナウイルス感染症の相談、受診目安が変更になったのをご存知の方も多いと思います。
以下に抜粋しますと
①少なくとも以下のいずれかに該当する場合には、すぐに御相談ください(これらに該当しない場合の相談も可能です。)
・息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
・重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
(※)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
②上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)
③相談は帰国者・接触者相談センター(地域により名称が異なることがあります)の他、地域によっては医師会や診療所等で相談を受け付けている場合もあるので、ご活用ください。
④妊婦の方へ
妊婦の方については、念のため重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センター等に御相談ください。
⑤お子様をお持ちの方へ
小児については小児科医による診察が望ましく、帰国者・接触者相談センターやかかりつけ小児医療機関に電話などで御相談ください。
※なお、この目安は国民のみなさまが相談・受診する目安です。これまで通り検査については医師が個別に判断します。
(以上 東京都感染症情報センター ホームページより抜粋、一部改変)
となりました。
ちょっと読むのが大変かな、と思います。
それまで出されていた相談・受診の目安との大きな変更点は
・「37.5℃以上の発熱が4日以上続いた場合」という文章が削除
されたことですね。
これにより新型コロナウイルス感染症が心配な方、疑われる方をできるだけ早く、広く検査できるようにしようという狙いがあります。
ただ相談や受診の対象となる方が広がったことにより、今後風邪症状が出て来たときに
「新型コロナウイルス感染症にかかったのでは・・・?」
と心配になってしまう方も増えるのではないかと考えています。
そこで一旦新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着きつつある現時点(2020年5月29日現在)で、
風邪症状が出たとして、どの様な場合に新型コロナウイルス感染症を疑い、相談したらよいか
を改めて考えてみました。
ご参考になりますと幸いです。
*風邪症状などないものの、新型コロナウイルス感染症について心配な方は
新型コロナコールセンター【午前9時から午後10時(土日祝含む)】 0570-550571
までご連絡、ご相談をお願いいたします。
②症状が出たとして、どの様な場合に新型コロナウイルス感染症を疑い、受診の相談をしたらよいですか?
今回は5つに分けてお話してみますね。
A)新型コロナウイルス感染症と診断された方と濃厚接触の機会があった場合、海外の流行地から帰国した場合
B)症状が出る前に「3密」空間やクラスターの発生場所に行った場合
C)息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
重症化しやすい方/妊婦の方
D)上記(C)以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
E)風邪症状が出始めてから1週間から10日程度で、息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかが出てきた場合
気になるところだけ読んで頂いても大丈夫ですのでお付き合いください。
*相談窓口や電話番号は
B)症状が出る前に「3密」空間やクラスターの発生場所に行った場合
に記載していますので、こちらをご覧くださいね。
まずは
A)新型コロナウイルス感染症と診断された方と濃厚接触の機会があった場合、海外の流行地から帰国した場合
ですね。
ところで濃厚接触とはどんな状態でしょうか?
ポイントをしぼると
マスクなし(手袋・手洗いなし)、1m以内、15分以上
(コロナ専門家有志の会 濃厚接触者の定義から私たちが学ぶこと より抜粋)
です。
これは是非覚えておいてくださいね。
ちなみに図にある「感染するかもしれない期間」ですが、新型コロナウイルス感染症と診断された方に
症状が出始めた日の2日前~隔離が始まった日まで
となります。
え、症状が出る前から感染することがあるの?
と驚いた方もいると思いますがそうなんです。
実は新型コロナウイルス感染症は
症状が出始める2日前に【感染のピーク】がある
と言われているのです。
つまり症状が出始める前の時期に、他の人にうつしてしまう可能性が一番高いわけですね。
そのため症状がない方に関しても「人にうつさないよう」マスクの着用が勧められているのです。
詳しくは国立国際医療研究センター 忽那賢志先生のブログも是非ご参考にして下さい。
この「濃厚接触」に思い当たる方が風邪症状で相談や受診をされる際は
「濃厚接触者かもしれません」
とまず話をし、どの様な状況で生活していたかを説明頂くのがいいですね。
また新型コロナウイルス感染症と診断された方は、診断された時点で
・自分の症状がいつから出たか
を改めて思い出してもらい、できることなら
・症状が出た日の2日前~診断されるまでの間に、「1m以内、マスクなし、15分以上」接した方に連絡をしていただく
と有難いです。
そうすることでさらなる感染拡大を防げる可能性があるのですね。
2つ目に
B)症状が出る前に「3密」空間やクラスターの発生場所に行った場合
です。
「3密」という言葉、すでになじみ深い言葉になってしまいました。
そう
「密閉、密接、密集」
ですね。
最初の方に取り上げた東京都医師会のパンフレットには、「3密」を
「むんむん(密閉)」「ぎゅうぎゅう(密接)」「がやがや(密集)」
と書いていますが、イメージしやすいでしょうか。
そしてパンフレットにはまた
③発熱、倦怠感、無味無臭、咳、息苦しさがあったらとにかく“かかりつけ医”に電話等で相談。
特に5日くらい前の三密に覚えはありませんか?
症状が見られたらなるべく早くPCR検査、抗原検査など早い対応が肝心です。
とあります。
ここで2つほど疑問が出てきます。
まず「かかりつけ医」がある方はそちらに電話してもらうとよいのですが、「かかりつけ医」のない方はどこに相談すればいいでしょう?
その場合は新型コロナ受診相談窓口(24時間対応)に電話をして頂くのがよいのですね。
【平日(日中)】 お住いのある地域の保健所
東京都の保健所・保健センターの電話番号一覧はこちらをご覧ください
(それ以外の方はGoogleやYahooなどの検索で「コロナ 保健所 〇〇区(市・町・村) 電話」と入力して頂くと探しやすいです)
【土日祝・夜間】 03-5320-4592
となります。
こちらもあわせてご覧下さい。
(東京都福祉保健局ホームページより抜粋)
つながりにくい事もあるかと思いますが、粘り強くかけてみて下さい。
それでもつながらない場合は、お住いの近くにあるクリニックや診療所に電話をかけ、相談されることをお勧め致します。
もう一つは
「特に5日くらい前の3蜜に覚えはありませんか」
とわざわざ「5日」と書いてあることですね。
これは何故なんでしょう?
実は新型コロナウイルス感染症の場合、ウイルスに感染してから症状が出るまでに1日~12日程度かかる(この期間のことを、症状は出ないもののウイルスはひっそりと潜んでいるので「潜伏期間」といいます)と言われているのですが、特に
5日目~6日目頃に症状が出る方が多い
からなのです。
また海外の流行地域から帰国した場合2週間の自宅待機を要請されるのですが、これは上記の潜伏期間を考慮しているからなのですね。
この「5日」というキーワード、覚えてみて下さい。
3つ目は
C)・息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
・重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
(※)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
・妊婦の方
ですね。
まず、
(※)に当てはまる方と妊婦の方
はただちにご相談下さい。
相談先はB)に記載してありますのでそちらをご覧ください。
そして
息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
ですが、どれか1つの症状でも当てはまるようであれば電話でご相談頂くとよいと思います。
あくまでも自分の感覚が頼りとなるのですが、普段の風邪と比べて
「こんなに息がハアハアしたことはないな・・・」
「ここまでのだるさを感じるのははじめてだな・・・」
「こんなに熱が上がったことはないな・・・」
など感じたらご相談下さい。
反対に
「いつもひいている風邪の症状と同じだな・・・」
「風邪をひくと咳がでやすいけど、息苦しくないし、咳もいつもと同じ感じだな・・・」
などであればまず様子を見て下さい。
*最近扁桃炎で受診される方がいらっしゃいますが、扁桃炎を繰り返している方についてはいつもの症状であっても早めの医療機関受診をお勧めいたします。
4つ目は
D)上記(C)以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)
です。
ここで
「4日」
と書いてあるのは何故でしょうか。
これは普段の風邪であれば3日程度で症状が落ち着いてくることが多いからなのですね。
新型コロナウイルス感染症の場合、8割の方が症状が軽くそのまま治っていくと言われていますし、普段の風邪と区別がつかないことも多いと言われています。
よって3日程度でよくなったら
とりあえず大丈夫
と思ってください。
ただ症状が出始めてから10日間程度はいつも以上にマスク着用、手洗いをしっかりするなどの対応をお願いします。
また症状が出始めた日を0日として、4日経たなくてもC)のような症状を感じたらその時点でかかりつけ医や保健所・保健センターの相談窓口にご相談下さいね。
では最後に5つ目
E)風邪症状が出始めてから1週間から10日程度で、息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかが出できた場合
です。
先ほどD)で新型コロナウイルス感染症の場合、8割の方が症状が軽くそのまま治っていくとお話しました。
そして残り2割の方は肺炎になったり、さらにその中の一部の方が重症化すると言われているのですが、この様な方は
症状が出始めてから1週間から10日程度で症状が悪くなる場合がある
事が分かってきています。
この様な場合には直ちに相談が必要となりますので覚えておいてください。
そのため少し長めに考えると、症状が出てから2週間程度は自分の症状の変化に注意する必要があるという事になるのですね。
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いたがでしたでしょうか。
第2波、第3波が起きないのが一番ありがたいのですが、もし起きてしまったときに皆様が判断される際の参考になりますと幸いです。
本日も長くなりましたがこの辺で。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
けい先生
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また2020年4月1日より
オンライン診療
も開始致しました。
・糖尿病や生活習慣病が心配な方や、すでに治療を受けているものの転勤などに伴い通院先を探している方
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