コレステロールのお話⑧ ~お薬はなぜ必要なのですか?~
こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分 目黒みらい内科クリニック 院長のけい先生です。
梅雨が明け、本格的暑さが続いていますね。
身体がついていくのは大変かと思いますが、水分補給をこまめにして熱中症にならないようにお気を付けください。
最近2回のブログではコレステロールと食事についてお話してきましたが、今日は
お薬
についてのお話です。
コレステロール(総コレステロールやLDLコレステロール)値が高い、と言われて外来に来られた場合のことを考えてみましょう。
まず外来で再検査をするのですが、やはりコレステロール値が高い。
どの様な食事内容かお聞きし、あまりにもコレステロールの多い食事をとっていることが判明した場合まず食事を調節してもらいます。
それで再検査をしてもまだ高い場合、お薬のお話をするのです。
そうすると
「お薬は一生飲まなくてはいけないんでしょう?」
「サプリメントや健康食品はだめですか?」
などの質問を頂くことがよくあるのです。
そこでコレステロールが高い方について
①なんのためにコレステロールを下げるのか?
②お薬は一生(ずっと)飲み続けなくてはいけないのか?
③サプリメントや健康食品ではなぜいけないのか?
を順にお話していきますね。
①なんのためにコレステロールを下げるのか?
これは
動脈硬化が進むのを抑えて、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの病気にならないように予防するため
となります。
今はなにも症状のない方がほとんどなのですが、将来の健康に保険をかけるイメージですね。
これから人生100年と言われるほど長生きの時代になると言われています。
出来るだけ長く元気に生活していくために
身体を病気になりにくい状態にしておく
ことが大切になってきます。
とくに狭心症や心筋梗塞、脳卒中など動脈硬化が原因で起こる病気になると最悪命を落としますし、場合によってはその前後で生活がガラっと変わってしまう事もあるのです。
また介護が必要な状態になると、その後の介護保険の負担も増えてしまいます。
そのため
生活習慣を整える+必要な時はお薬を使う
ことで備えるのが大切と考えています。
②お薬は一生(ずっと)飲み続けるのはなぜか?
出来ることならお薬はずっと飲みたくない、と思いますよね。
症状がないのなら尚更です。
ただ以前ブログでお話した通り、コレステロールの調節は主に肝臓が担当していて、食事の影響は少ないのです。
そうすると、食事を調節したけれども下がらない・・・ということになれば、肝臓のコレステロールを作る働きを調節することになりますよね。
自力で調節できればいいのですが、残念ながら気合を入れてみても、肝臓に「あまりコレステロールを作らないで」とお願いしてみても、泣いて駄々をこねても変わるものではありません。
そこで頼りになるのがお薬というわけなのです。
コレステロールが高い場合よく使われるお薬には
・肝臓でコレステロールを作る量を抑えるお薬(HMG-CoA阻害薬)
・腸(小腸)からのコレステロールの吸収を抑えるお薬
があります。
最近のお薬はとても効果が出やすく、飲み始めると多くの方のLDLコレステロールが下がっていきます。
(ただ中には家族性高コレステロール血症という病気で下がりにくい方もいますのでご注意ください)
ただお薬を飲んでいる間は効果が続くものの、飲むのをやめると途端に効果が切れて元に戻ってしまいます。
けい先生の外来でも
「コレステロールが下がったので、1回お薬をやめてみてもいいですか?」
と質問を頂くことがあるのでその場合はお薬を1か月ほど中止し再検査をしてみるのですが、もとのコレステロールの値に戻ってしまいお薬を再開することになる方がほとんどです。
残念ながらお薬を飲んでいた結果体質が変わる訳ではないので、お薬の手助けがなくなるともとの状態に戻ってしまうわけです。
またお薬を飲んだり飲まなかったりすると、そのたびにコレステロールの値が上がったり下がったりします。
この上がり下がりが動脈に負担をかけてしまう可能性があるのです。
遊園地のジェットコースターをイメージしてみて下さい。
上がり下がりが強いと身体への衝撃、負担がすごいですよね。スピードが速ければ尚更です。
浅草花やしきのジェットコースター程度ならまだいいのですが、富士急ハイランドのフジヤマやドドンパと言ったらもう大変・・・。
(余談ですが、調べてみたら花やしきのジェットコースターの最高時速は42㎞/h、フジヤマは130m/h、ドドンパはなんと180㎞/hなんですね。)
よって処方されたお薬は出来るだけ毎日しっかり飲むようにして下さいね。
③サプリメントや健康食品ではなぜいけないのか?
テレビCMやネットCM、新聞や新聞の折り込みチラシなどでサプリメントや健康食品の話を聞かない日はありませんね。
それだけ皆様の身近なものになっていますし、実際30%の方は毎日何らかの健康食品を取り、80%の方は使ったことがある、との調査結果も出ています。
有名人やタレントの方が出ているとそれだけで
「なんとなく効きそう・・・」
「身体に良さそうだな・・・」
と言った印象を持つ方も多いと思います。
ただ、厚生労働省からも説明が出ていますが、
健康食品・サプリメントは病気の治療には使えない
のです。
あくまでも健康の保持、増進を助けるものであって、残念ながら薬の代わりにはならないのですね。
今回はコレステロールのお話をしていますが、他の病気でも病院で「お薬が必要ですよ」と言われた場合、健康食品やサプリメントを代わりに使用してよくなることは難しい、とお考え下さい。
また
「健康食品やサプリメントは安心」
といったイメージを持っている方もいらっしゃいますが、副作用の報告がされているものもあります。
そしてお薬と一緒にとるとお薬の効果を弱めてしまったり、また反対に強めてしまうものもあるので注意が必要なのです。
もし何かしらの健康食品やサプリメントを飲んでいる場合は、通院中の先生に仰って頂けると助かります。
けい先生をはじめ、医者は何が何でもお薬を出そうとしているわけではありません。
今の状態で何もしなかった場合と、お薬を使用した場合どちらが将来の患者さんにとってよいのかを考えたうえ、必要と判断した場合にお薬を処方するのです。
よって処方されたお薬は出来るだけしっかりと飲み、定期的な通院、検査を受けることをお勧めしています。
如何でしたでしょうか?
病院でお薬を処方された時、しっかりと飲んで頂くための参考になりますと幸いです。
本日も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
けい先生
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