糖尿病のお話⑬ 腎臓はどんな作りになっていますか?~洗面台からイメージしてみましょう~
こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分 目黒みらい内科クリニック院長のけい先生です。
前回はまず腎臓の働きについてお話をしました。
これからは糖尿病で腎臓がダメージを受けるとどうなるか、についてのお話になります。
いま
「腎臓がダメージを受ける」
と書きましたが、糖尿病が原因で腎臓がダメージを受ける場合、簡単にいうと
「腎臓の血管がダメージを受ける」
ということなんです。
腎臓の血管、と聞いてもピンとこない方もいらっしゃると思いますので、今日は腎臓の細かい作りについてお話しますね。
まずイメージから入りましょう。
今日は「毛糸」と「洗面台」がポイントです。
突然ですがまず右手の平に、赤い太めの毛糸の玉をもっているところをイメージしてください。
大きさはちょうど手の平にのるくらいの丸い球です。
毛糸はマカロニやホースのように穴が開いています。
そして毛糸は特別な半透膜(ある程度小さな物質やイオン、水分だけ通す膜のこと)でできているとしましょう。
(穴が開いた毛糸があるのか?これは毛糸と言えるのか?というツッコミはなしでお願いします)
それを持って洗面所に行き、毛糸の玉を、洗面ボトルに置きます。
ちなみに洗面台の構造はこちら
(水道トラブルネット ホームページより抜粋)
毛糸の片一方の端を水道につなぎ、もう片一方の端を洗面ボトルから出して、下の排水管にくるくる巻き付けておきましょう。
その状態で蛇口をひねると勢いよく水が出ます。
普通の毛糸ではなく半透膜の毛糸を使っているので、水の一部は洗面ボトルにもれるものの反対側の端まで水は行き届くものとして下さい。
もれた水は洗面ボトルから排水管(排水金具や排水トラップ)へ流れるわけです。
ちなみに余談ですが、洗面台の下は図の様に排水管がS字になっているものがあるのですが何故でしょう?
これはS字の部分に水かたまることで
・下水のにおいをブロックする
・下水管から虫やネズミなどが上がってくるのを防ぐ
役割があるそうですよ。
私たちが洗面所に行っても臭いが気にならないのはこういった工夫のお陰なんですね。
ここまでイメージは出来ましたでしょうか?
実は腎臓を細かく見ていくと、上のイメージと近い構造になっています。
違いは
・水の代わりに血液が流れること
・流れが途切れることがないこと
・洗面台の排水管は受けた水を流すだけだが、腎臓はその排水管の部分から身体に必要なものを吸い上げること
などですね。
それでは今までのイメージを腎臓に置きかえてみましょう。
洗面台のパーツの名前は
・赤い毛糸の玉=糸球体=血液が流れる血管
(糸球体は「糸を球にした状態」に似ているのでこの名前がついたと言われています)
・洗面ボトル=ボウマン嚢
・排水管=尿細管
と言われてます(細かい名前は覚えなくて大丈夫です)。そしてこの
「糸球体~ボウマン嚢~尿細管」
のかたまりのことを
ネフロン
といいます。図も見てみて下さいね。
(公益財団法人 テルモ生命科学振興財団ホームページ
中高生と‘‘いのちの不思議‘‘を考えるー生命科学DOKIDOKI研究室より抜粋)
一つの腎臓に、このネフロンがなんと
100万個
もあるとのこと。
両方合わせて200万個ですから、すごい数ですよね。
これが1個しかなかったとすると、この1個がダメになってしまったら即腎臓が働かなくなってしまうのですが、
200万個もあるのでちょっとやそっとのことでは影響を受けにくくなっているのです。
実に人間の身体は細かく繊細にできています。
ここで最初に戻りますが、
糖尿病が原因で「腎臓の血管がダメージを受ける」
ということは
「赤い毛糸の玉=糸球体=血液が流れる血管がダメージを受ける」
ことなんです。
ここまでよろしいでしょうか?
今日は皆様に少しでもイメージしていただくことを目的に、かなりざっくりと腎臓の細かな作りについてお話してみました。
次回以降、糖尿病性腎症についてお話していきます。
本日も最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
けい先生
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