糖尿病のお話⑫ 糖尿病性腎症について~腎臓の役割は何ですか~
こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分 目黒みらい内科クリニック 院長のけい先生です。
今日は朝から雨が強く、梅雨寒となりましたね。気温差に身体も驚いていると思いますので、皆様いつもより1枚多く羽織っていらして下さい。
さて本日は糖尿病合併症の「し(神経症)め(眼:網膜症)じ(腎症)」の中の
糖尿病性腎症
についてのお話です。
ただ今回はまず
腎臓の役割について
お話したいと思います。
まず皆様、腎臓は身体のどのあたりにあるかご存知ですか?
下の図は身体を前からみたもののですが、場所は大体背中の腰の上あたりに左右1個ずつあるのです。
(一般社団法人 日本腎臓学会ホームページより抜粋)
形はそら豆のようであり、大きさは大体10㎝(長さ) x 4㎝(幅) x 3㎝(厚み)程度。
ちなみに赤い棒は動脈、青い棒は静脈、黄色い太い線は尿管ですね。
尿管は腎臓と「尿」をためておく膀胱をつなぐ「管」ですので「尿管」と呼ばれます。
実際見ると本当に「細い管」なんですよ。
なお「尿」が膀胱から身体の外に出ていく通り「道」は「尿道」といいますね。
その腎臓ですが、一番大きな役割は
尿をつくること
なんです。
ではなぜ尿をつくるのでしょうか?
それには大きく分けて3つの理由があります。
①身体にとっていらなくなったもの(=老廃物)を出す
②身体の水分量の調整をする
③ホルモンを出す、ミネラル等の調整をする。
順を追ってお話しますね。
①身体にとっていらなくなったもの(=老廃物)を出す
私たちが生活していると、毎日のようにゴミが出てきますよね。
買い物をしたら包装紙、ビニール。食事の用意をしたら野菜の皮や魚の骨なども出ます。
それを私たちは燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ごみ・・・などに分けて決まった日にゴミを出すことになりますね。
出し忘れるとゴミはたまる、匂いは出るし家が徐々に大変なことになっていきます。
それと同じように、人間も生きていると身体にとっていらなくなったものが常に作られています。
これを「老廃物」とも言うのですが、生活のゴミと同じように、捨てずに貯めておくと身体に悪い影響が出てきます。
そうならないように黙々と老廃物を身体の外に出してくれる。それが腎臓の役割の一つなんです。
私たちはごみを出すとき自分で「これはいる」「これはいらない」「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」・・・などと判断しますが、
腎臓は何をもとにいるものといらないものを分けているのでしょうか?
それは
「大きさ」
なんです。
身体にとって必要なもの(赤血球やタンパクなど)は比較的大きく、身体にとっていらないものは小さいのですね。
腎臓で尿をつくる時、血液を目の細かいふるいに通して、いるものといらないものを分けているのです。
(ただ大きさの小さいものにも身体にとって必要なものもあり、それも一緒に出て行ってしまうのですがどうなるか・・・そこは③でお話します。)
②身体の水分量の調整をする
私たちはのどが渇いたらお水を飲みますし、ケーキと一緒にコーヒーや紅茶を飲んだり、アルコールを飲むこともあります。
特にアルコールは水と違い、一晩で1リットルや2リットル程度飲めてしまう方もいらっしゃいますね。
ただそれだけ水分をとっても、翌日にはからだのどこかに水がたまってタプタプしてしまうこともないですし、
逆に飲まないからと言って急に体から水分が抜けてシワシワになってしまうわけでもありません。
どんな状況でも、身体の水分量がある程度のところで落ち着くように自然に調整してくれているのです。
この水分の調節にも腎臓が大事な役割をはたしているのです。
先ほど①で
「腎臓で尿をつくる時、血液を目の細かいふるいに通して、いるものといらないものを分けている」
とお話ししました。
この血液には水分が含まれており、水分は全部ふるいをすり抜けます。
そのすり抜ける量は1日でなんと、
180リットル
にもなるとのこと!
2Lのペットボトル90本分にもなるんですね。
体重60㎏の方の血管内の血液量が3リットルと言われていますので、単純計算すると1日で
60回
も血管内の血液が腎臓のふるいを通っていることになります。
これだけの水分がそのまま尿になってしまったら・・・・一日中トイレから離れられず、水分を片時も離せず飲み続けて1日終わってしまいますがそんなことないですよね。
これは腎臓がほぼ99%の水分を身体に戻してくれている(再吸収)お陰なんです。
そのおかげで私たちの尿の量は
1日1リットル~2リットル程度
に収まっているのですね。
③ホルモンを出す、ミネラル等の調整をする
昔は腎臓の働きは①、②だけと考えられていたのですが、研究が進みそれ以外のこともいろいろと分かってきました。
実は腎臓からは様々なホルモンが出ており、
・血液を作るのを助けてくれるエリスロポエチン
・カルシウムやリンに関わる活性化ビタミンD3
・血圧の調節に関わるレニン
があると言われています(細かい名前は覚えなくても大丈夫です)。
腎臓の働きが悪くなると貧血になったり、骨がもろくなったり、血圧が上がりやすくなったりするのですが、これは腎臓から出るホルモンの調節がうまくいかなくなるから起こるのですね。
また①のところで少し触れた通り、身体にとって必要なものでも大きさが小さいと一旦尿として出て行ってしまう・・・とお話ししました。
その中にはナトリウムや糖、アミノ酸など身体にとって必要なものが含まれているのですが、こういったものもちゃんと身体の状態に応じて腎臓が吸収してくれ、戻るようになっているのです。
いかがでしたか?
細かい腎臓の作りなどは省いていますが、腎臓にはこれだけ色々な働きがあるんだな、頑張ってくれているんだな、と思ってもらえると嬉しいです。
これだけの働きをこっそりコツコツと行い、支えてくれている腎臓に感謝ですね。
長くなりましたので今日はこの辺で失礼します。
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。
けい先生
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