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糖尿病のお話⑨ なんでインスリンの効きが悪くなるのでしょうか?

こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分 目黒みらい内科クリニック 院長のけい先生です。

 

糖尿病のお話⑧で「インスリン抵抗性とは何か」についてお話ししました。

 

インスリンが効きにくい状態インスリン抵抗性

 

というわけですね。

 

では、なぜこのようなことがおこるのか、今日はお話していきますね。

 

 

一言でまとめると

 

「大きくなった脂肪細胞から、「悪玉」物質がでてくるから」

 

ということになりますが・・・

 

ここで「脂肪細胞」「悪玉」物質といった聞きなれない言葉が出てきましたので、順にお話しますね。

 

 

皆さん、

 

「最近お腹が出てきた・・・」

「ズボンをはくときに苦しい・・・」

 

こんな経験をしたことがあるのではないでしょうか?

太ってくると感じることのある身体の変化です。

 

さてここで質問です。

 

体重が増える=太る

 

なのですが、この時身体の中で何が起きているのでしょうか?

(トレーニングで筋肉が増えてきた場合は考えないでおいて下さいね)

 

・・・

 

これはご存知の方も多いかと思いますが

 

「脂肪」

 

が身体につくわけですね。

脂肪にはあまりよいイメージを持っていない方が多いかと思いますが、

 

・身体の体温を保つ効果

・内臓を同じ位置に保つ働き

・エネルギーをためる働き

・身体にとってよいホルモンを出す働き

 

などがある大事なものなのです。

 

脂肪が一番つきやすい場所はお腹ですが、お尻や二の腕、顔や足まで全身いろいろな所につきます。

 

では次の質問です。

 

この「脂肪」はどのように身体に「つく」のでしょうか?

 

・・・

 

実は

 

「細胞」

 

の中にたまるのです。

 

人間の身体は約60兆個からなる細胞の集まりだ、などと言われます。

細胞は身体を作る一番小さなもの。

脳には脳細胞、肝臓には肝細胞、膵臓には膵α細胞や膵β細胞・・・などというように、それぞれ細胞にちゃんと名前があり、働き、役割も違うのです。

この60兆個からなる細胞が集まり、それぞれの異なった役割を果たしながら人間として成り立っているのはすごいと思いませんか?

 

そしていろいろな細胞があるなかで、主に脂肪をためる細胞があり、

 

「脂肪細胞」

 

という名前がついています。

 

脂肪をためる専用の細胞の用意まであるとは、人間の身体はよくできていますね。

これは食事を満足にとれない時代が長く続いたことが影響していると言われています。

以前は安定して農作物や肉の確保が出来なかったため、栄養を取れるときは脂肪細胞に脂肪としてエネルギーを蓄え、栄養が取れない時には脂肪を分解して使えるようになりました。

 

その脂肪細胞ですが、形の変化を今タピオカドリンクではやりの「タピオカ」に置き換えて考えてみましょう。

 

タピオカはキャッサバというイモの根茎からとったデンプンからなり、日本ではこのデンプンを水に溶いて熱を加え、

1㎝ほどの大きさの丸い形に乾燥させた「タピオカ・パールのことを「タピオカ」と呼ぶことが多いようです。

これゆでたり、電子レンジで温めると大きく膨らみ、柔らかく独特の食感のある美味しい食べ物へ変化するわけですね。

 

脂肪細胞の場合、その大きさは

 

約70~90マイクロメートル(70マイクロメートル=1000分の7センチメートル)

 

と言われています。

日本人の髪の毛の細さが80マイクロメートルですから、脂肪細胞1個の大きさもなんとなく想像できますね。

 

血液中に余分な脂肪や糖が入ってくると、中にどんどん取り込んでいきます。

そうするとタピオカのように膨らんでいき、

 

・タピオカパール→タピオカドリンク用のタピオカ

 

の様に変化します。

 

ただどこまでも膨らむわけではなく、2倍程度(=体積が3倍程度)の大きさが限界のようです。

 

そして以前は大人になったら脂肪細胞はそれ以上数が増えない、と言われており私もそう習ったのですが、

最近の研究では数も増えてどんどん脂肪をため込むようになることが分かってきました。

 

そしてタピオカと大きく違うのは、タピオカは大きくなると美味しくなるのに対し、脂肪細胞はなんとそこから

 

身体にとって悪い物質=「悪玉」物質

 

を出すようになる、というのです。

 

この「悪玉」物質が

 

インスリンが効きにくい状態インスリン抵抗性

 

を作るのに関係していると言われています。

(具体的な物質のお話は省略させていただきますが、TNF-αやMCP-1などといった物質が関係していると言われています。)

 

とても不思議なのですがなぜそうなったのでしょう?

本来身体にとってよい存在であったのが、変わってしまうなんて・・・。

 

なぜその悪い物質を出すようになるかということはまだはっきりとわかっていません。

 

 

ここから先はけい先生の考えです。

 

私たちは食べ過ぎるとお腹が痛く、気持ち悪くなったり、ひどいと吐いたりすることがありますよね。

脂肪細胞も脂肪を目いっぱいためこむと、本当は私たちと同じようにつらくて脂肪を吐き出したいのかもしれません。

 

私たちの場合、気持ち悪いのを吐かずに無理に我慢していると余計体の調子が悪くなることがありますよね。

加えてさらにあれも食べて、これも飲んでと言われたら辛いですし、「もう無理です~」と断ることもあると思います。

 

それと同じように脂肪細胞もつらい状態を我慢し続けた結果、自分自身の調子が悪くなる。

もうパンパンに膨らんでいるのでここからさらに糖や脂肪などを取り込むのは辛いしやめてほしいところですが、声に出して伝えられない。

 

そうすると脂肪細胞が自分を守るためにやむを得ず(私たちにとって「悪玉」物質と言われるものを出し)

 

インスリンが効きにくい状態=インスリン抵抗性

 

をわざと作り出して、糖が自分の中に入ってくるのできるだけ遅くしよう、邪魔しようと工夫した結果なのかもしれません。

 

 

私たち人間からすれば

 

脂肪細胞が「悪玉」物質を出した結果、インスリン抵抗性が出てきた

 

という言葉になりますが、

脂肪細胞からすると

 

自分の体を守るために工夫した結果こうなった

 

ということにもなりませんか?

 

立場を変えて物を考えると大変面白いですね。

最近お腹が出てきたなと感じた時、この脂肪細胞の立場も考えてあげるとよいかもしれません。

 

繰り返しになりますが、これは証明されたものではなくあくまでもけい先生の考えですからね。

こういう可能性もあるのかな、と興味を持ってもらえると嬉しいです。

 

今日も長くなりましたが、最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。

 

けい先生