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睡眠時無呼吸症候群の検査と治療|目黒・白金台の内科

最終更新日:2026年8月26日

 

こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分、白金台駅より徒歩9分 医療法人社団FU-WA 目黒みらい内科クリニック院長のけい先生です。

本日は、睡眠時無呼吸症候群の検査と治療についてお話していきます。

 

「いびきがすごい、と家族に言われてしまって・・・」

「寝ているとき、何度も息が止まっていると言われました・・・」

「でも昼間そんなに眠くないし、病院に行くほどではないかな・・・」

 

このような方は、実は少なくありません。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんを診察していると、ご本人が最初に異変に気づくというより、一緒に寝ているご家族やパートナーから指摘されて受診される方が大半だと感じます。先日もご家族が睡眠中の様子を録音しており、「息が止まっているところを録音してきたんですよ」と聞かせてくださった患者さんがいらっしゃいました。

それくらいこの病気はご自分では気づきにくく、周りの方が先に気づくことの多い病気なのですね。

本日は次の3点についてお話しますね。

 

① 寝ている間、のどで何が起きているのか

② 検査は「診察 → 簡易検査 → 精密検査」の順に進みます

③ 睡眠中の呼吸を楽にする治療 ― CPAPとマウスピース

 

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【お時間のない方へ|この記事の要点】

 

この記事は少し長くなっていますので、お時間のない方、まず要点だけ知りたい方はこの章だけお読みいただければと思います。気になったところは後程それぞれの章で詳しくお話ししていますので、そちらをお読みください。

 

① いびきは、眠っている間に空気の通り道が狭くなっているサインのひとつです

 

眠るとのどの筋肉がゆるみ、空気の通り道が狭くなります。そこを空気が通るときに震えて出てくる音がいびきです。完全に息が止まれば無呼吸、大きく減れば低呼吸といいますが、そうなるたびに眠りが浅くなります。この繰り返しが一晩に何十回、多い方では百回以上起こることがあり、しかもご本人の記憶には残りません。「よく眠れているな」と感じている方の中にも、実際には眠りが細切れになって十分質の良い睡眠がとれていない場合があるのですね。

 

② 太っていなくても、昼間眠くなくても睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合もあります

 

あごの大きさや形、扁桃の大きさ、鼻づまりも関係するため、細身の方でも起こります。また症状に関しては、よく出てくる昼間の眠気の感じ方には個人差がありますし、眠気ではなく朝の頭痛、夜中に何度もトイレに起きる、疲れが取れないといった形で現れることもあります。

 

③ 血圧や心臓・脳の病気と関係することがあります

 

睡眠時無呼吸症候群は高血圧、心房細動、狭心症や心筋梗塞、心不全、脳卒中との関係が知られています。もうひとつ気をつけたいのが日中の眠気による事故で、特に運転中に眠気を感じる方は早めの受診をお勧めいたします。

 

④ 検査の前にまず診察をします

 

まず診察でのどやあごの状態、日中の生活のご様子を確認したうえで、ご自宅での簡易検査に進みます。簡易検査は入院不要で痛みもありません。簡易検査の結果、必要な方には脳波なども測る精密検査(PSG)をご案内します。なお2026年6月から精密検査(PSG)の前に必ず簡易検査を受けていただくことが必須になりました。

 

⑤ 治療の中心はCPAP、マウスピースという選択肢もあります

 

診察と検査の結果、必要がある方にCPAP治療を開始します。CPAPは空気の力を使ってのどを内側から支え息の通り道を確保する治療です。マウスピースは、下顎をわずかに前へ出した位置で保つことで通り道を確保する装置で、軽症の方やCPAPを使用してみたものの合わないという方で検討します。

 

⑥ 減量によって、CPAPから離脱できる方もいらっしゃいます

 

実際当院でも減量に成功され、再検査の結果CPAPから離脱できた患者さんが数名いらっしゃいます。ただし体重が減った場合でも無呼吸が残ることは珍しくありませんので、自己判断で中止せず、必ずもう一度検査を受けて確認しましょう。

そして最後にお伝えしたいのは、一度「自分も睡眠時無呼吸症候群かもしれない」と思ってしまうと、どこかで気になり続けてしまうものだ、ということです。検査をして違うことが分かった場合は今後の安心につながります。もし診断がついたとしても、これからどう改善していくかを一緒に考えていくことができます。

 

要点は以上となります。

ここからは、それぞれについて詳しくお話ししていきますね。

 

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① 寝ている間、のどで何が起きているのか

 

眠ると、空気の通り道が狭くなるのですね

 

鼻や口から吸った空気は、のどを通って肺に届きます。この空気の通り道を、気道(きどう)といいます。

起きている間はのどのまわりの筋肉が働いて、この通り道が開いた状態に保たれています。ところが眠りにつくと、全身の筋肉と同じようにのどの筋肉もゆるみます。すると舌の付け根やのどの奥の柔らかい部分が後ろに下がり、気道が狭くなりやすくなります。

そしてもともと気道が狭い、舌が大きい、あごが小さい、肥満がある、扁桃(へんとう)が大きい、鼻づまりがあるといった条件が重なると、この狭くなり方はさらに強くなります。

狭くなった通り道を空気が通ると、のどの奥の柔らかい部分が細かく震えます。

この震える時に出る音がいびきなのですね

つまりいびきは、単なる音ではなく「眠っている間、空気の通り道が狭くなっていますよ」という身体からのサインのひとつでもあるのです。

そして気道が完全に閉じてしまい、10秒以上、空気の流れが止まる状態無呼吸といいます。また気道は完全には閉じないものの、空気の流れが大きく減り、血液中の酸素が下がったり、眠りが一時的に浅くなる状態を低呼吸といいます。

この記事ではこれ以降、無呼吸と低呼吸をまとめて「呼吸が止まったり弱くなったりする」と書いていきますね。

ただし、いびきのある方すべてに睡眠時無呼吸症候群があるわけではありません。そこはまずご安心ください。

一方で、いびきに加えて、

 

寝ている間に息が止まっていると言われる

夜中に息苦しくて目が覚める

日中の眠気が強い

 

といった症状がある場合には、一度睡眠時無呼吸症候群があるかどうか確認するための検査を考えてみることが大切です。

 

一晩に何度も何度も眠りが浅くなることがあります

 

呼吸が止まったり弱くなったりすると、身体に十分な酸素を取り込むことができなくなり血液の中の酸素が下がります。すると体は呼吸を立て直そうとして、脳に短い「覚醒反応」を起こします。覚醒反応とは、目がしっかり覚めるわけではないものの、眠りが一瞬だけ浅くなる状態を指すのですね。

そのとき、のどの筋肉に力が戻って気道がふたたび開き、大きないびきとともにしっかりとした呼吸が再開します。そしてまた眠りが深くなると、気道が狭くなる──この繰り返しが、人によっては一晩に何十回と起こることがあるのです。

この覚醒反応は数秒程度のことが多く、ご本人の記憶にはまったく残りません。そのため「よく眠れているな」と感じている人の中にも、実際には眠りが何度も細切れになっている場合があるのですね。

たとえば7時間ふとんに入っていても、30分おきに誰かに肩を揺すられて眠りを浅くされたとしたら翌朝すっきり起きられる方はいないと思います。これはふとんにいた時間は長くても、眠りが途切れ途切れになってしまうからですね。それと同じように、睡眠時無呼吸症候群の方の体では、ご自分では気づかないまま毎晩眠りが途切れ途切れになってしまい、休むために必要な質の良い睡眠が十分にとれていないことがあるのです。

「しっかり寝たはずなのになんだか疲れが取れない・・・」

と感じる方がいらっしゃるのは、このためです。

 

太っていなくても起こります

 

先ほど気道が狭くなりやすい条件をいくつか挙げました。そのうち肥満以外の要素も、実はとても大きく関係しています。

確かに体重が増えるとのどのまわりにも脂肪がつき、気道が狭くなりやすくなります。しかし原因は体重だけではありません。

もともとあごが小さい方、舌が大きめの方、扁桃が大きい方など、のどやあごの大きさや形が関係していることがあります。

また鼻づまりも、いびきや睡眠中の呼吸のしにくさを悪化させる一因になります。

そのため細身の方でも睡眠時無呼吸症候群は起こることがあります。太っていないからといって「自分には関係ない」とは言い切れないのですね。

 

昼間に眠くならない方もいらっしゃいます

 

睡眠時無呼吸症候群をお持ちの方は昼間に眠気を感じる方が多くいらっしゃいます。

ただここで気を付けていただきたいことがあるのですが、睡眠時無呼吸症候群があっても、全員が昼間の強い眠気を感じるわけではない、ということです。

眠気の出方、感じ方には個人差がありますし、この状態は何年もかけて少しずつ進むため、「自分の体調はこういうものなんだ」と徐々に慣れてしまい、気づいていない方も少なくありません。

また眠気ではなく、朝起きたときの頭痛、夜中に何度もトイレに起きる、集中力が続かない、疲れが取れない、といった形で症状が現れることもあります。ただしこれらの症状は睡眠時無呼吸症候群でみられることがある一方、ほかの病気でも起こる症状です。

そして必ずしも「症状が当てはまる=睡眠時無呼吸症候群」ということではありません。ただ気になる場合はご相談いただければと思います。

 

放っておくと、血圧に影響することがあります

 

呼吸が止まったり弱くなったりして酸素が下がるたび、体は呼吸を立て直そうとして「交感神経」を活発にします。交感神経は体を緊張・活動モードに切り替える神経ですね。この交感神経の働きで血管が縮み、心拍数や血圧が一時的に上がります。

こうした変化が夜のあいだに何度も繰り返されると、本来なら眠っている間に下がるはずの血圧が、十分に下がらないことがあります。

実際に睡眠時無呼吸症候群は高血圧、なかでも治療しても下がりにくい高血圧や、夜間の血圧が高いタイプの高血圧と関係することが知られています。また心房細動(脈が乱れる不整脈のひとつ)、狭心症や心筋梗塞といった心臓の血管の病気、心不全、脳卒中とも関連があるとされています。

ただし睡眠時無呼吸症候群があるから必ず心筋梗塞や脳卒中になる、というわけではありません。

睡眠時無呼吸症候群に加え体重、血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症など、ほかの要因も重なることで心筋梗塞や脳卒中になるリスクが高まっていきます。

もうひとつ気をつけたいのが、日中の強い眠気による事故です。

特に運転中に眠気を感じる方、居眠り運転をしそうになったことがある方は、ご本人だけでなく周囲の方の安全にも関わります。昼間に眠気を感じることがある方は、早めの受診をお勧めいたします。

「いびきくらい大丈夫」と思われがちですが、毎晩の眠りが途切れ途切れになり、知らない間に体へ負担がかかっていることがあるのです。いびきや無呼吸を指摘された方だけではなく、昼間の眠気がある、疲れが取れないなどの症状を感じている方は、一度きちんと調べてみる意味が大きいと考えています。

 

② 検査は「診察 → 簡易検査 → 精密検査」の順に進みます

 

まず、診察をします

 

当院では検査の前にまず診察をします。

診察ではいびきや無呼吸のことだけをうかがうわけではありません。

当院では特に、日中の生活のご様子にフォーカスを当ててお話を聞くようにしています。単に「昼間眠いですか」とお聞きしても、ご自分では眠気に気づきにくいことがあるためです。

 

会議中やデスクワーク中に眠くなっていないか

車を運転しているときに眠気を感じないか

通勤電車ですぐ眠ってしまわないか

昼食後に強い眠気が出ていないか

 

というように、実際の生活の場面に置き換えて確認していきます。そのほか最近急に体重が増えていないか、お酒を飲む量が増えていないか、鼻水や鼻づまりが続いていないか、といったこともうかがいます。

あわせて体重を確認し、お口の中を見て、扁桃が大きくないか、口蓋垂(こうがいすい:いわゆる「のどちんこ」)やのどの奥が狭くなっていないか、あごが小さくないかを確認します。

扁桃の腫れや鼻・のどの状態から、耳鼻咽喉科で詳しく診ていただいたほうがよいと判断した場合には、まず耳鼻咽喉科をご紹介することもあります。その際には当院で紹介状をご用意しますので、ご安心ください。

 

次にご自宅で簡易検査を行います

 

診察の結果、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合に行うのがご自宅での簡易検査です。

入院の必要はなく、いつものご自宅で普段どおりお休みいただきながら行う検査なのですね。

なお2026年6月からこの後にお話しする精密検査を行う前に、必ず簡易検査を受けていただくことが必要になりました。そのため最初から精密検査から受けていただくことはできません。まず簡易検査を受けていただき、その結果を確認したうえで次の検査や治療を考える、という流れになります。

簡易検査の流れは次のとおりです。

 

検査の当日にご来院いただきます
 ↓
看護師が検査機器の使い方をご説明し、その場で検査機器をお渡しします(5分~10分程度)
 ↓
その晩、ご自宅で機器をつけてお休みいただきます
 ↓
検査の翌日に検査機器をご返却いただき、その場で検査結果をご説明します

 

簡易検査は手首などに小さな機器を装着し、指と鼻にもセンサーをつけて一晩お休みいただくものです。

この検査で測るのは、血液中の酸素の状態、脈拍、鼻から出入りする空気の流れなどです。なお針を刺したりする検査ではなく、痛みはありませんのでご安心ください。

 

簡易検査で分かること

 

この検査で調べるのは、1時間あたり何回、呼吸が止まったり弱くなったりしているかです。

この回数が多いほど睡眠が途切れ途切れになってしまい、質の良い睡眠をとれていないことになります。

検査機器が記録していた時間には、眠りにつくまでの時間や夜中に目が覚めていた時間も含まれます。これは簡易検査では脳波を測らないため、実際にどのくらい眠っていたかのか正確に分からないためです。その結果簡易検査では無呼吸の程度が実際より軽めに出ることがあります。

現在の保険診療では、簡易検査で呼吸が止まったり弱くなったりする回数が1時間あたり30回以上の場合に、CPAP治療を保険で開始できることがあります。ただし、この回数だけで自動的に決まるわけではありません。日中の眠気などの症状、高血圧をはじめとする他の病気の有無、診察で分かった体の状態も合わせて、医師が総合的に判断します。

そして1時間に30回未満の場合1回の簡易検査で治療方針が決まる方もいれば、もう一段詳しい検査に進んでいただく方もいらっしゃいます

 

必要な方には精密検査を行います

 

簡易検査だけでは治療をどうするか判断が難しい場合や、眠りをさらに詳しく調べる必要がある場合には、精密検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフィー)に進みます。

簡易検査が「呼吸と体の酸素の状態」を見る検査であるのに対して、精密検査はそれに加えて「眠りそのもの」も見る検査です。脳波、寝ている時の眼の動き、あごの筋肉の動きなども測定するため、いつ眠りに入ったか、どの深さの眠りにどのくらいの時間いたか、実際に何時間眠っていたかまで分かります。

精密検査では、実際に眠っていた時間をもとに1時間あたりの呼吸が止まったり弱くなったりする回数を計算します。この回数による重症度の分類は、一般的に次のとおりです。

 

5回以上15回未満:軽症

15回以上30回未満:中等症

30回以上:重症

 

そして現在の保険診療では、精密検査で1時間あたり15回以上、中等症か重症の場合にCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)治療を保険で開始できることがあります。こちらも簡易検査と同じく、症状や他の病気の有無なども踏まえて、最終的に医師が治療の開始を判断します。

当院では必要な方に脳波なども含めて眠りを詳しく調べることのできる精密検査を、ご自宅で受けていただけるようご案内しています。精密検査の流れは次のとおりです。

 

検査機器をご自宅へ郵送でお届けします
 ↓
ご自身で装着し、一晩測定していただきます
 ↓
検査終了後、機器を郵送でご返却いただきます
 ↓
解析に3〜4週間程度かかります
 ↓
結果が当院に届き次第、お電話等にてご連絡します
 ↓
ご来院いただき、結果をご説明します

 

簡易検査より測定する項目が多く、解析にも時間がかかるため、結果が出るまでより長い時間お待ちいただくことになります。

 

簡易検査と精密検査(PSG)は全く同じ検査ではありません

 

どちらも「ご自宅で検査機器をつけて一晩測る」という点は同じなのですが、簡易検査は「呼吸を中心に調べる検査」、精密検査は「呼吸に加えて、眠りそのものも調べる検査」なのですね。

簡易検査では空気の流れ、血液中の酸素、脈拍などから、呼吸が止まったり弱くなったりする回数がどのくらいあるのかを調べます。ただし脳波を測らないため、その方が実際に眠っていた時間までは正確に分かりません。

一方、精密検査では一緒に脳波なども測るため、実際に眠っていた時間、眠りの深さや眠りの段階、途中で眠りが浅くなった回数まで詳しく分かります。1時間あたりの呼吸が止まったり弱くなったりする回数も、実際に眠っていた時間をもとに計算できますので、簡易検査に比べて無呼吸がどの程度起きているのかをより正確に評価できるのですね。

 

検査費用の目安(3割負担の場合:検査費用のみ)

 

ご自宅で行う簡易検査:約2,160円

ご自宅で行う精密検査:約6,000円

このほかに初診料・再診料、検査の判断料などが別途かかります。

 

③ 睡眠中の呼吸を楽にする治療 ― CPAPとマウスピース

 

CPAPは、空気の力でのどを内側から支える治療です

 

検査の結果、CPAP治療が必要と判断された方には、CPAPを開始します。

CPAPは、寝ている時に鼻などにマスクをつける治療です。呼吸に合わせて機械から空気が送られ、その圧力によって、睡眠中にのどの奥がふさがらないよう内側から支えます。

私は患者さんにこのようにご説明しています。

「寝ている間はのどのまわりの筋肉がゆるみ、舌の付け根やのどの柔らかい部分が後ろに下がって、空気の通り道が狭くなります。体のつくりそのものを変えることはできないため、寝ている間は呼吸を機械に助けてもらいましょう」

CPAPは睡眠中の無呼吸や低呼吸、いびきだけでなく日中の眠気などを改善するための最も一般的な治療です。眠っている間に何度も眠りが浅くなってしまう状態を減らしていく治療、と考えていただくとよいと思います。

なお、睡眠時無呼吸症候群は高血圧や心血管の病気と関連することが知られていますが、「CPAPを使えば心筋梗塞や脳卒中を必ず防げる」と言い切れるものではありません。研究ではCPAPを毎晩十分な時間しっかり使えている方で心筋梗塞や脳卒中が起きるリスクが下がる可能性がある、という段階です。

 

マウスピースという選択肢もあります

 

睡眠時無呼吸症候群では、口腔内装置(マウスピース)も治療の選択肢になります。眠っている間、下顎(したあご)をわずかに前へ出した位置で保つものです。下顎を前へ出した位置で保つと、舌やのどのまわりの組織が後ろへ下がりにくくなり、空気の通り道を保ちやすくなります。

CPAPが「空気の力で気道を開ける」治療だとすれば、マウスピースは「あごの位置をずらすことで気道を開けておく」治療、というイメージですね。

マウスピースは軽症の方や、CPAPが合わない・続けることが難しいという方で検討します。ただし無呼吸を改善する効果はCPAPほど強くないため、無呼吸が重い方には、より確実に気道を開きやすいCPAPをまずおすすめすることが多くなります。

なお睡眠時無呼吸症候群用のマウスピースは、どこの歯科医院でも作れるわけではありません。また保険診療でマウスピースを作製するためには、まず睡眠時無呼吸症候群の検査・診断を受け、検査結果や治療の依頼を記載した紹介状を添えて歯科へご紹介することが必要です。もしかかりつけの歯科医院があり、そちらで対応可能であれば、まずはそちらでご相談いただきます。そしてかかりつけの歯科医院がない、かかりつけの歯科医院で対応が難しい場合には当院から対応可能な歯科医院をご紹介する場合がありますのでご相談ください。

 

CPAP治療費用の目安(3割負担の場合)

 

CPAP治療を始めた後は、診察やCPAPの使用状況の確認、調整などを含め、1か月あたりおおむね4,000〜5,000円台となることが一般的です。睡眠時無呼吸症候群以外の病気がある場合や、お薬を処方する場合はそちらの診察代などもかかります。

 

Q&A

 

Q. CPAPは毎晩使うのですか?

 

本当によく聞かれるご質問です。基本的には「できるだけ毎晩使ってください」とお話ししています。CPAPは使っている間に気道を支える治療です。もしCPAPを使わない場合、それまで抑えられていた無呼吸や低呼吸がまた起こる可能性が高いのですね。

ただし最初から毎日使える方ばかりではありません。マスクをつけて眠ることに違和感があったり、空気の圧力に慣れなかったりする方もいらっしゃいます。そのため私は、「最初から完璧に使おうとしなくて大丈夫です。つらいときは途中で外しても構いませんので、まずは1か月CPAPをつけて寝る習慣をつくることから始めましょう」とお伝えしています。

そして慣れてきたらできるだけ長い時間使い続けていただくことが目標になります。

空気の圧が合わない、鼻が乾く・詰まる、マスクが痛い、空気が漏れてしまう、といった困りごとがあれば診察時にご相談いただき、対応を考えてまいります。

 

Q. 治療を始めたら、どのくらい通院が必要ですか?

 

CPAP治療を始めてしばらくの間は1か月に1回ご来院いただきます。使い心地や空気の圧が合っているか、マスクが合っているか、実際にどのくらい使えているかを確認し、必要に応じて調整していくためですね。

安定して使えるようになった方では、2か月に1回の通院に延長することもあります。

 

Q. CPAPは一生続けるのですか?

 

「この機械を一生つけなくてはいけないのですか」と聞かれることも少なくありません。そのような場合、「今の時点では続けていくつもりでお考えください。ただし将来ずっと同じであるとは限りません」とお話ししています。

肥満が睡眠時無呼吸症候群に関係している方の場合、減量によって無呼吸そのものが改善することがあります。体重が減ることでのどの周りの脂肪が減り、その結果空気の通り道が狭くなりにくくなるためですね。実際当院でも減量に成功され、再検査の結果CPAPから離脱できた患者さんが数名いらっしゃいます。

ただし残念ながら体重が減っても無呼吸が残ることは珍しくありません。これはあごの形やのどの構造など、体重以外の要素も関係するためです。そのため体重が10%程度以上減った場合や、減量によりいびき・眠気などの症状が大きく変わった場合には、簡易検査でもう一度評価し、CPAPの必要性を確認します。ですので自己判断で中止せず、必ずご相談くださいね。CPAPを続けながら減量に取り組んでいただくのが、いちばん安全な進め方です。

医療技術も進歩しています。CPAPの機械も以前に比べて小さくなっていますし、将来は今とは違った治療方法が登場するかもしれません。そうした進歩にも期待しながら、まずは今できる治療を続けていきましょう。

 

まとめ|「昼間眠くないから大丈夫」と思っている方へ

 

最後に、ぜひお伝えしたいことがあります。

「いびきはあるけれど、昼間はそんなに困っていない」「病院に行くほどではないかな」と思っていらっしゃる方は、本当に多いと思います。しかし今までお話ししたとおり、睡眠時無呼吸症候群の方すべてが昼間の強い眠気を感じるわけではないのですね。

例えば次のような方は、一度検査を受けてみてもよいと思います。

 

・ご家族やパートナーから、無呼吸やひどいいびきを指摘された

・出張などで同室になった同僚から「息が止まっていた」と言われた

・最近体重が増えてから、いびきがひどくなった

・肥満があり、最近血圧も高くなってきた

・十分眠っているはずなのに、朝の疲れが取れない

 

これらに当てはまるからといって、必ずしも睡眠時無呼吸症候群があるというわけではありません。ただ一度検査を考えてみてよいサインだと思います。

一度「自分もそうかもしれない」と思うと、どこかで気になり続けてしまうものです。検査をして違うことが分かれば、それは今後の安心につながります。もし診断がついたとしても原因や重症度に合わせて、これからどう改善していくかを一緒に考えていくことができます。

いびきや睡眠中の無呼吸が気になる方はまず一度、目黒みらい内科クリニックへご相談ください。

ご予約は当院ホームページのWeb予約から承っております。

 

皆様のお役に立てますと幸いです。

 

医療法人社団FU-WA 目黒みらい内科クリニック
けい先生