気管支喘息の方へ ~吸入ステロイド薬をしっかり続け、症状のない生活を目指しましょう~
こんにちは。目黒駅東口より徒歩3分、白金台駅より徒歩9分 目黒みらい内科クリニック 院長のけい先生です。
9月も下旬となり、だいぶ朝晩涼しくなってきました。
過ごしやすい気候になってきたのはありがたいのですが気候の変化や台風の接近などの影響もあり、気管支喘息をお持ちの方が症状を訴えて受診される機会が増えてきています。
気管支喘息は息の通り道である気管から気管支に「炎症」が起きていて、何かきっかけがあると気管から気管支が狭くなることで症状が出てくるのですね。
この「炎症」を抑えるために
吸入ステロイド薬
を中心とした治療を続けて頂く事が大切なのです。
ただ症状が落ち着いてくると、治療や通院を中断してしまう方もいらっしゃるのですね。
そこで今回は
①吸入ステロイド薬とは何ですか?
②なぜ吸入ステロイド薬が大事なのですか?
③どのように治療を続けるとよいでしょうか?
といった内容で、できるだけ分かりやすくお話ししていきますね。
①吸入ステロイド薬とは何ですか?
先ほどもお話した通り吸入ステロイド薬は気管支喘息の治療の中心であり、最も大事なお薬です。
ちなみに吸入ステロイド薬とは
吸って(吸入)使うステロイドという薬
の事なのですね。
ステロイドはホルモンの1種で、「炎症」を抑えてくれたり免疫を調節してくれたりするとても優れたお薬なんです。
気管支喘息の炎症にはステロイド
と覚えてください。
他にも気管支喘息に対して使う吸入薬には
気管支拡張薬
というお薬もあります。この薬は文字通り
気管や気管支を広げてくれるお薬
の事なんですね。
気管支拡張薬は効き目の続く時間の違いから
・効果が出るのはゆっくりだが、効き目が長く続く・・・「長時間」作用性
・効果が出るの早いが、効き目が短い・・・「短時間」作用性
に分かれます。
(正確には気管支拡張薬のことを「β2刺激薬」というのですが、分かりやすさから「気管支拡張薬」としますね)。
吸入薬をお使いの方は現在お使いの薬がどれに当てはまるのか、ぜひ確認してみてください。
*長時間作用性気管支拡張薬だけの吸入薬、抗コリン薬という吸入薬もありますが今回は省略させて頂きます。
②なぜ吸入ステロイド薬が大事なのですか?
気管支喘息は息の通り道である気管から気管支に「炎症」が起きていて、何かきっかけがあると気管から気管支が狭くなることで症状が出てくると書きましたが、治療の目的は
気管から気管支に起きている「炎症」
を抑えることで、喘息の症状が出ないようにすることなんですね。
この「炎症」という言葉、けい先生をはじめとした医療者はよく使いますし、聞いたことのある人も多いと思いますがもう少しお話ししますね。
例えば雨の日に道を歩いていた時、濡れた地面に足を取られ転んでしまい手の平の半分くらい擦りむいてしまったとしましょう。
想像しただけで痛そうですが、この場合手のひらは赤くなり、腫れ、触ると熱く、痛みを感じると思います。
この
赤くなり(発赤)、腫れ(腫脹)、触ると熱く(熱感)、痛みを感じる(疼痛)
がある状態を
「炎症」
と呼ぶんですね。
つまり気管支喘息の方は気管や気管支が赤く腫れた状態になっているのです。
痛みまで感じる方は少ないですがヒリヒリ感や違和感、息が通るのをより感じやすくなるといった症状が出るのもこの「炎症」の影響なのですね。この「炎症」がある状態に風邪や気候の変化、疲労、ストレス、睡眠不足などが加わると気管や気管支が狭くなってしまい気管支喘息の症状が出てくるわけです。
気管支喘息の症状が出てきた場合、①の表にあるサルタノールやメプチンといった「短時間作用型気管支拡張薬」を使うと一時的に気管から気管支が広がるので症状が楽になるのですが、残念ながらこの「短時間作用型気管支拡張薬」には炎症を抑える効果はなく、ただ「気管から気管支を広げる」だけなので薬の効果が切れるとまた苦しくなってしまうのです。
そのため先ほど
炎症にはステロイド
と書いたように吸入ステロイド薬をしっかりと使い、炎症を抑えていくことが大切なのですね。
③どのように治療を続けるとよいでしょうか?
気管支喘息の治療は
喘息の症状を感じることなく、普段の生活を送れるようになること
が目標なのですね。
「ちょっと苦しい感じがするけど、これくらいなら(生活に支障がないから)いいかな」
「サルタノールやメプチンを使えば楽になるから大丈夫」
といった状態では不十分なのです。
目標を達成するためには気管や気管支に起きている炎症をできるだけ抑えることが大切であり、そのために吸入ステロイド薬を症状がなくなるまでしっかり使い続けることが大事になります。
ただ炎症が収まるのにはかなり時間がかかるのですね。人によっては数か月、長く気管支喘息を患っている方は年単位で治療を続ける必要があります。吸入薬だけでおさまらない場合は飲み薬や貼り薬、注射薬なども一緒に使用することもあります。
私たちは診察の時に症状をお聞きした上で診察、検査(血液検査や肺機能検査など)を組み合わせることで現在の状態を評価し、治療を調整するのですね。
大事なのは
・医療機関への通院を続け、治療がうまくいっているかどうか評価してもらうこと
・症状がよくなってきたからと言って、自分の判断で薬を中止しないこと
・発作が起きた場合、我慢せず医療機関を早めに受診し検査、治療を受けること
となります。
ただそうはいっても症状が落ち着いてくると、通院がおっくうになってしまう場合もあると思います。
オンライン診療
も受けて頂ける体制を整えています。自宅等で診察を受けて頂けることから通院や薬を継続しやすくなると考えていますし、既に多くの気管支喘息の方にご利用いただいています。興味のある方はご相談下さい。
皆様のお役に立てましたら幸いです。
本日も最後までお読み頂きましてありがとうございました。
けい先生